
令和7年9月11日健康福祉常任委員会において、中央病院跡地活用事業者の募集について所管事務報告がなされ、「西宮市立中央病院跡地売却に係る公募型プロポーザルの実施について(案)」が示されましたので、その骨子をご報告させていただきます。
1 西宮市立病院跡地民間活用ゾーン約10000万㎡を対象として、土地に存在する建物他施設一切を残置したまま、現状有姿で引き渡しを行うことを前提に事業者を募集する。
2 事業者の応募資格としては、
ア 必須要件として
・入院機能(100床以上の病床規模)をもった病院の整備・運営を行うこと
・内科を含む複数の診療科目を設置し、外来診療を実施すること
・1次救急を実施すること
・阪神南圏域において100床以上の病床数を確保していること(令和8年1月30日時点)
イ 加点事由として
・本市および阪神圏域の医療課題の解消に寄与できる病院機能・取組み
・地域の要望意見を反映した取り組み・地域貢献
3 応募者の資格としては
・日本法人であること
・破産事由などのないこと
・反社会的関係者でないこと
のほかに、安定かつ健全な財務能力を有することとして
ア 経常損益が、直近事業年度3期連続でマイナスになっていないこと
イ 自己資本金額が、直近事業年度最近期が債務超過になっていないこと
ウ 営業キャッシュフローが、直近事業年度3期連続でマイナスになっていないこと
エ 支払能力が、直近事業年度最近期の値が100%未満となっていないこと
オ 有利子負債比率が、直近事業年度最近期の値が100%以上となっていないこと
4 評価・選定方法について
・市が設置する西宮市立中央病院跡地活用事業者選定委員会において事業者の選定を行う。
・委員会の構成員は、財務局長、中央病院事務局長、病院事業管理者、政策局長、都市局長の5名の市職員で構成し、必要に応じて外部有識者がオブザーバーとして参画する。
・選定方法は、プロポーザル方式で、総合評価点(価格評価点+提案評価点)とする。
・選定にあたっては、プレゼンテーションおよび質疑応答を求める。
5 最低売却価格は、21億3200万円とする。
※本件土地の更地鑑定価格額から建物等解体撤去費用相当額を控除した額
6 評価項目および配点について
- 価格:価格以外=1:3とする
- 評価項目は次のとおりとする。
提案 | (1)事業の安定性 | 長期安定的な医療の提供 | 45点 |
(2)事業スケジュール | 土地引き渡し・病院開設の計画 | 45点 | |
(3)医療機能 | 180点 | ||
①患者受入能力 | 病床規模、外来診療体制 | (45点) | |
②地域医療への貢献 | 病診連携における取組 | (45点) | |
緊急医療 | (45点) | ||
回復期機能 | (30点) | ||
③その他 | 本市・阪神圏域の医療課題の解消 | (15点) | |
地域貢献 | 地域の活性化など地域貢献 | 30点 | |
小計 | 300点 | ||
価格 | (1)提案価格 | 100点 | |
総合評価点 | 400点 |
7 事業計画の実行性確保として
(1)売買契約条項に違反した場合のため、20年間の再売買予約条項を入れる
(2)再売買代金は、契約額と再売買時の鑑定評価額とを比較し低い額とする
雑感ですが、一時、病院機能を完全になくし、マンションなどが建設されるのではないかとの心配がありましたが、地域医療の必要性に鑑み、病院機能の誘致を重視した形の募集要項になっていると思います。
また、最低売却価格は、土地の地価-解体費用ということで約21億円程度となりました。住民説明会でも、あまり最低売却価格が高くなると、病院が参入できず、医療機関の確保ができないのではないか、市の保有財産は、財政的な数字だけではなく、市民にとって有効に利用されてこそ価値があるのではないかというご意見もあり、多少低めの金額でも医療機関の誘致を優先することには賛成です。
もっとも、江上町の私有地の売却でも落札額が高額になりましたので、実際は、それ以上の金額が入札されるのではないかと期待するところです。
配点割合についても、他市では、医療機関誘致を重視して、価格:提案=1:4.6(松戸市立福祉医療センター)1:9(三田市民病院)とする例もありますが、現在の本市の財政状況からすると、ここまで提案点を高くする(逆にいうと価格点を下げる)と、バランスを欠くと思います。一方、価格を重視しすぎる(加古川西市民病院 1:1.5)のでは、病院誘致が厳しくなると考えられ、価格:提案=1:3の比率は、バランスが取れていると思います。
なお、病院が、購入後に病院を辞め第三者に土地を転売したり、経営状態が悪化して病院経営ができなくなったらどうするのかとの心配ですが、上記のとおり財務能力を応募資格とすることで、一定の安定性は確保できると思われますし、売買条項に違反した場合の買戻しについては、当初10年を考えていたようですが、20年まで伸ばした形をとっており(その結果、法的に買戻特約ではなく、再売買の予約としています)病院機能の長期的な提供が可能になるのかと思います。
今後も適切な選定が行われるように注視していきたいと思います。