成人年齢の引き下げによるトラブルについて

19歳の女性に対し、レッスン契約を勧誘したという被疑事実で男性二人が特定商取引法違反容疑で逮捕されたとのニュースが報道されました。被疑者は、「19歳は成人だ」と申し向け、19歳の女性に対し、契約の締結を迫ったとのことです。

本年4月から成人年齢が、引き下げられ、20歳から18歳に引き下げられましたが、今までと具体的に何が変わるのかまとめてみましたので、よろしければ情報共有していただければと存じます。

改正により、18歳になったらできるようになること

  • 自分で携帯電話の契約ができる
  • クレジットカードを作ったり、ローンを組むことができる
  • 賃貸物件を一人で借りることができる
  • 大学や就職先を自分で決めることができる
  • パスポートの取得ができる
  • 公認会計士・司法書士・行政書士などの資格の取得ができる
  • 婚姻ができる(女性については16歳から引き上げ)
  • 選挙権を有するようになる(公職選挙法)

一方、次のような事柄は、20歳までできません

  • 飲酒・喫煙
  • 競輪・競馬などの公営競技

本事案は、まさに成人年齢の引き下げにより懸念されえる弊害の典型例といえ、今後も様々な形で、18歳になったばかりの青少年が消費者被害などの対象になる可能性があります。

契約は、双方の合致により成立するのであるから、いやな契約は当然拒否できること

契約を締結するかどうかを一人で決める必要はなく、ご両親や信頼できる方に相談してから調印する自由があること

万一、その場の威圧的な雰囲気に流されて調印した場合でも、事情により特定商取引法などのクーリングオフ制度の利用ができる可能性があること

クーリングオフの期間が経過していても、消費者契約法や民法による無効・取消の主張が可能な場合もあること

など、青少年の皆様に基本的な契約知識について知っておいていただきたいと思いますし、もし、消費者トラブルに巻き込まれた場合には、一人で悩まず、行政や警察などに相談していただくことが必要かと思います。また、青少年に対する基本的な契約に関する知識の啓もうなど行政が主導して行う必要があると思います。