「闇バイト」募集に対する規制について

「闇バイト」募集に対する規制について時事通信に記事が記載されておりました。
全国で強盗事件・特殊詐欺事件が相次いでいることから「闇バイト」募集に関する対策を官民が連携して行い、SNS監視を強化するという内容です。
具体的には

  1. 警察庁 強盗殺人の実行役募集の投稿を「有害情報」に加え削除要請を行う。
  2. 全国警察 サイバーパト-ロールで闇バイト募集の投稿などを発見次第、警告・削除要請を行う。
  3. 通信関連業界 ガイトラインを改定し、仕事内容を示さずに高額報酬をうたい人を募集する投稿などを禁止する。

という内容です。

私も、強盗事件やオレオレ詐欺などの特殊詐欺事件については、刑事弁護人もしくは被害者側代理人として複数の対応をさせていただきましたが、いずれの立場でもやはりまず被害回復を中心に考えます。強盗や特殊詐欺は、高齢者の方の将来の生活原資を根こそぎ奪い取る卑劣な犯罪ですから、どのような形であっても被害回復を行うことが最も重要だと思います。

また、同時に、刑事弁護の対応をする際に、思っていたことは、今まで犯罪に手を染めたことのない一般の学生や若い方が、特殊詐欺や強盗などの共犯として加担してしまうことが多いということです。
多くの場合は、本件で問題となるようないわゆる「実入りのいいバイト」に軽率に応募してしまい、その際に免許証や実家住所などの個人情報を把握されてしまうことから、犯罪から抜け出せないというケースでした。

当然、いかなる理由があっても、特殊詐欺・強盗などの犯罪に加担した以上、その責任を負うことは必要です。しかし、もっと早く、闇バイトの危険性が告知されており、軽率にそのような募集に応じなければ、被害者も発生しなかったであろうし、その方も人生を見失うことがなかったのにと忸怩たる思いをもっていました。

記事の最後は、「捜査の徹底や粘り強い削除要請などあらゆる手段を通じ、「闇バイトは危険なものだと世間に浸透させる必要がある」と強調した。」と締めくくっていますが、私もまったく同意見であり、行政を通じて、闇バイトに加担することのリスク・危険性を徹底的に周知徹底(特に成人になりたての学生などに対し)することが重要だと考えます。今後も行政を通じた予防的対応に期待したいと思います。